秩父市下白久地区

土砂災害からの逃げ地図WS
経緯と目的
  • 下白久地区は、50年ほど前に大久保沢で土石流が発生したことがあった。また、土砂災害特別警戒区域が西部の上白久地区との境界部と中央部の谷津川沿いと北東部の荒川の河岸段丘沿いに指定されていた。
  • 下白久地区地区を構成する原区・橋場区・豆早原区の3区のうち豆早原区における二つの集会施設は土砂災害特別警戒区域のすぐ近くにあり、建築制限がかかっていた。また、市の指定避難場所の荒川農村環境改善センターは徒歩での避難は難しく、特に橋場区南部地域が顕著であり、住民の間に不安な声が上がっていた。
  • こうした状況下、隣接する上白久地区が土砂災害からの逃げ地図づくりを進めていたことを町会長らが耳にした。そこで、町会長らが秩父市危機管理課に相談し、上白久地区に倣って逃げ地図づくりワークショップを開催することを各区の区長らに提案した。
方法と内容

(第1回ワークショップ)

  • 上白久地区と同様、埼玉県の土砂災害防止法に基づく基礎調査結果をプリントアウトし、町会長や区長らが市の担当者や大学生らとともに、①土砂災害警戒区域の範囲、②同区域内の避難障害地点、③同区域内の堅牢な建物、④避難場所の候補となりうる施設の位置と構造等を点検するまち歩きワークショップを実施した。
  • その際、荒川沿いエリアの2班と谷津川沿いのエリアの合計3班に分かれ、1時間程度現地踏査を行った後、30分程度でその成果を班ごとに用意した白地図上に記入し、互いに発表しあって成果を共有した。

(第2回ワークショップ)

  • 第2回は、前回参加者のほか、消防団員や旅館経営者らの参加も得て、土砂災害からの逃げ地図づくりを行った。最初に大学の専門家から土砂災害と地区防災計画に関する基礎知識を得た(30分程度)後、原区・橋場区・豆早原区の3班に分かれ、逃げ地図を作成した。
  • 逃げ地図づくりにあたっては、秩父市危機管理課の職員がファシリテイターとなり、ベースマップ上で自宅の位置と土砂災害警戒区域の範囲を確認した上で(10分間)、第1回ワークショップの安全点検の成果を活用して避難目標地点と大雨時の想定条件を確認し(20分間)、避難経路の避難時間を色塗りし、避難方向に矢印を入れた(20分間)。
  • 避難目標地点は大雨時に避難可能な区の集会施設又は安全な場所にある宿泊施設とし、そこに至る避難時間と避難方向を図示した。避難時間は、上白久地区と同様、雨天時を考慮して3分間で103m移動するものとした。
  • 作成した逃げ地図を見ながら、秩父市から避難準備・高齢者等避難開始情報と避難勧告または避難指示情報が発令された時の避難場所、避難行動要支援者の誘導方法、災害時の協力協定等について意見交換し、それらをワークシートにまとめた(30分間)。各班の成果をそれぞれ3分間ずつにまとめて発表し、参加者の間で共有するとともに、当日ゲスト参加の田村圭子・新潟大学教授から講評を得た。

(第3回ワークショップ)

  • 第2回ワークショップで作成した3区の逃げ地図を下白久地区として一枚にまとめ、土砂災害からの避難に関する意見と課題を整理した上で、大雨時の緊急避難場所までの徒歩による逃げ地図を作成した。
  • 地区防災計画案をまとめた久那地区の事例を参考に、地区防災計画で定める事項を確認した後、一枚にまとめた逃げ地図を見ながら、大雨時の避難場所と避難行動要支援者の避難方法などに関する意見をまとめ、下白久地区防災計画案(土砂災害編)を検討した。

(第4回ワークショップ)

  • 第3回のワークショップで作成した下白久地区の逃げ地図の記述内容を確認して修正した後、下白久地区防災計画案(土砂災害編)の素案を再検討して修正意見を取りまとめた。まとまった逃げ地図は全戸配布し、地区防災計画案を秩父市に提案することにした。
成果と課題
  • 土砂災害からの逃げ地図づくりを通して、地区住民の間で、大雨時に緊急避難場所などへ水平移動して避難する必要があるエリアと屋内待機した方が安全なエリアに関する共通認識が広がった。
  • 土砂災害特別警戒区域に敷地の一部がかかっていた区の集会施設は大雨時の緊急避難場所とせず、そこに近接し一時滞在可能な民間施設を町会指定の緊急避難場所とした。また、区の集会施設への避難が困難なエリアにある谷津川沿いについては、民間の宿泊施設の協力を得て町会の緊急避難場所として指定することができた。
  • 区の集会施設に駐車場がなく、そこに至る道路が狭いエリアについては、逃げ地図上に車の通行規制を明示するとともに、関係地権者の協力を得て緊急時に駐車可能な民有地(空き地)を逃げ地図上に明記した。
  • 土砂災害からの逃げ地図づくりと地区防災計画案(土砂災害編)の立案を通して、大雨時と地震時の緊急避難場所の違い、緊急避難場所と避難所の違いについての共通認識が深まった。
基本情報

開催年月日

(第1回)2017年5月18日

(第2回)2017年6月3日

(第3回)2017年7月10日

(第4回)2017年8月25日

開催場所:橋場区農村センター

主催:秩父市役所、下白久町会

参加対象

(第1回)町会役員、市職員等

(第2回)町会役員、消防団員、地域住民、市職員等

(第3回)町会役員、地域住民、市職員等

(第4回)町会役員、地域住民、市職員等

参加者数

(第1回)約15名 2班構成

(第2回)約25名 3班構成

(第3回)約15名

(第4回)約20名

 

第1回ワークショップ (2017年5月18日)
緊急避難場所の候補の安全点検風景

第2回ワークショップ (2017年6月3日)

左:WS冒頭の土砂災害に関する説明 右:逃げ地図づくりの作業風景
班ごとに作成した逃げ地図の発表

第3回ワークショップ(2017年7月10日)

左:ワークショップ冒頭の町会長挨拶 右:作成した逃げ地図に関する意見交換

第4回ワークショップ(2017年8月25日)

地区防災計画(案)の説明と意見交換

▽ 作成された逃げ地図

下白久逃げ地図